契約においては、双方がそれぞれの債務を履行することが当然求められます。
売買契約であれば商品を買った者は、その代金を支払うという債務を持ち、商品を売るものはその商品を引き渡すという債務を持っています。
そこで契約の当事者の一方が、代金を払わないなどの債務を履行しない時には、次のそれぞれの場合に応じてその契約を解除できるようになっています。
履行できる債務を、契約で決められた日までに行っていない場合などに当てはまるもので、民法第541条には【当事者の一方が、契約で定められた期限までに自己の債務を履行しない場合には、他方の当事者は相当の期間を定めて相手方の債務の履行を催促し、その催告期間内に履行がない場合には、契約の解除ができる】と規定しています。
この相当の期間とは、1週間を目安と見ておけば間違いないでしょう。
しかし、履行遅滞であっても必ず催告が必要とは限りません。
民法第542条には【契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、当事者の一方が履行をしないでその時期を経過した時は、相手方は催告をせずに直ちにその契約の解除をすることができる】と規定しています。
例えば、今年の行政書士の教材の売買契約をした場合、その試験日を過ぎて教材が引き渡されても意味がないので、試験日を過ぎれば、催告をしなくても即刻契約を解除できることになります。
契約による債務の履行が、物理的なものや法律に反することが原因で不可能になった状況をさします。
民法第543条には【履行の全部又は一部が不能となったときは、債権者は契約の解除をすることができる。
ただし、その債務の不履行が債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りではない】と規定しています。これは履行の期限がある場合でも、いつまでたっても履行はできないことが明らかなので
すから、催告せずに履行不能となった時点で契約の解除ができるということです。
例えば、エステティックサロンと1年間の契約をしたが、契約期間の満了を待たずに倒産をした場合は、役務の提供が受けられなくなったりすることで債務不履行となり、契約の解除ができると解されます。
契約の目的が履行された場合でも、その履行された内容が本来の債務の本旨にかなっていなければ、やはり債務不履行ということになってしまいます。これを不完全履行と呼んでいます。
商品の交換や修理などを請求することも可能ではありますが、そういった催告をしても相手方がこれを行わない場合は、やはり履行遅滞に準ずる形になり、契約の解除ができます。また、履行を追加する形になったとしても、本来の目的に叶ったものにならなければ、履行不能に準じて催告をせずに契約を解除することができます。
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