特定継続的役務

特定継続的役務とは

エステティック・語学教育・家庭教師・パソコン教室・結婚相手紹介サービスの6つを対象にした契約のことです。

資格取得や生涯学習などの講習や、エステの技術指導などここで対象となっていないものもあり、特定商取引法の残された課題の一つですが、それらは消費者契約法や民法等の規定に沿って救済していくことができるでしょう。

指定されている業種に該当するかどうかは微妙なものもありますので、その都度検討する必要があります。

政令指定役務の概要

指定された6業種で、それぞれ指定期間、指定金額を超えるもののみが特定継続的役務提供契約の対象となります。

エステティックは契約期間が1ヶ月を超え、契約金額が5万円を超える場合で、残りの5業種はそれぞれ2ヶ月、5万円を超える場合に適用されます。

チケット制やポイント制となっていって、その有効期間の定めのないものは指定期間を超えるものとして扱います。

実質的に契約期間を超える契約の継続を要求される場合も指定期間を超えるものとして扱います。

●エステティックサロン
人の皮膚を清潔にし、もしくは美化し、体型を整え、または体重を減らすための施術を行うことに該当するものです。
●語学教育
語学の教授のことですが、入学試験に備えるため、または大学以外の学校における教育の補習のための学力の教授に該当するものは除かれます。
●家庭教師

中学、高校、大学、専修学校、各種学校の入学試験に備えるため、または学校教育の補習のための学力の教授で事業者側が用意する場所以外の場所において提供されるものに限られます。
●学習塾
中学、高校、大学、専修学校、各種学校の入学試験に備えるため、または学校教育の補習のための学力の教授で、事業者側が用意する場所において提供されるものに限られます。
浪人生のみを対象にしたものは対象になりません。
●パソコン教室

電子計算機(パソコン)またはワードプロセッサー(ワープロ)の操作に関する知識または技術の教授に該当するものです。
●結婚相手紹介サービス
結婚を希望する者への異性の紹介に該当するものです。

関連商品

◆契約書面で商品の購入が契約の条件として掲載されている場合
書面上は別々の契約であるとしていても勧誘の実態に照らして購入する必要のある商品と認定される場合も含まれます。

◆役務提供の中で当該商品を使用する場合
例えば、学習指導において使用する学習教材やエステで使われる化粧品などが該当します。
◆勧誘内容によって関連が性が認定できる場合

契約と同時に消費者が自分で使用するものであって、「契約の目的を実現させるために必要」として勧誘されたものが含まれます。

●エステティックサロン
健康食品 化粧品、石けん(医薬品を除く)および浴用剤 下着類・美顔器、脱毛器
健康食品 化粧品、石けん、および浴用剤は政令指定消耗品です。
●語学教育、家庭教師、学習塾
書籍(教材を含む)、カセット・テープ、CD、CD-ROM、DVD等、ファクシミリ機器・テレビ電話
●パソコン教室
パソコン・ワープロ並びにこれらの部分や付属品、書籍、
●結婚相手紹介サービス
真珠・貴石・半貴石、指輪、その他装身具、カセット・テープ、CD、CD-ROM、DVD等

特定商取引法の特定継続的役務提供に適用されない場合

次のような場合には特定商取引法は適用されません。

①事業者間による取引
②国外にいる者に対する契約
③国や地方公共団体が行う販売または役務の提供
④労働組合等の団体がその組合員に対して行う販売や役務の提供
⑤事業者がその従業員に対して行った販売または役務の提供

書面交付とその必要記載事項

◆事業者は、特定継続的役務提供(特定権利販売)について契約する場合には、それぞれ以下の書面を消費者に渡さなければならないことになっています。

契約前
①事業者の氏名または名称、住所、電話番号、法人にあっては代表者の氏名
②役務の内容
③購入が必要な商品がある場合にはその商品名、種類、数量
④役務の対価または権利の販売価格、その他支払わなければならない金銭の概算額
⑤④の金銭の支払時期とその方法
⑥役務の提供期間
⑦クーリング・オフに関する事項
⑧中途解約に関する事項
⑨割賦販売法に基づく抗弁権の接続に関する事項
⑩前受金の保全措置に関する事項
⑪特約があるときは、その内容

契約後
①役務や権利の内容、購入が必要な商品がある場合にはその商品名
②役務の対価または権利の販売価格その他支払わなければならない金銭の額
③②の金銭の支払時期、方法
④役務の提供期間
⑤クーリング・オフに関する事項
⑥中途解約に関する事項
⑦事業者の氏名または名称、住所、電話番号、法人にあっては代表者の氏名
⑧契約の締結を担当した者の氏名
⑨契約の締結の年月日
⑩購入が必要な商品がある場合にはその種類、数量
⑪割賦販売法に基づく抗弁権の接続に関する事項
⑫前受金の保全措置の有無とその内容
⑬購入が必要な商品がある場合には、その商品を販売する業者の氏名または名称、住所、電話番号、法人にあっては代表者の氏名
⑭特約があるときは、その内容

禁止行為

特定継続的役務提供においては、以下のような行為が禁止されています。

●売買契約等の締結について勧誘を行う際、または申込みの撤回や契約の解除を妨げるために、次の事項につき事実と違うことを告げること 。

①役務やその権利の種類や役務の内容や効果、その他省令で定める事項
②購入の必要がある商品がある場合は、その種類や性能、品質、その他省令で定める事項
③販売価格や購入者が支払う金銭の額
④③における金銭の支払い時期及びその方法
⑤役務に関する提供期間
⑥当該契約の解除に関する事項
⑦契約の締結を必要とする事情に関する事項
⑧消費者の判断に影響を及ぼす重要なもの

●契約の締結について勧誘を行う際、上記の①~⑤の事項に関して故意に事実を告げないこと。
●契約の締結について勧誘を行う際、または申込みの撤回や契約の解除を妨げるために、威迫して困惑させること。

クーリングオフ

特定継続的役務提供におけるクーリングオフ有効期間は法定書面を受領した日を起算日として8日間です。しかし、上記のような禁止行為等を行いクーリングオフ妨害行為があった時は、再度、法定書面を受領した日から8日間はクーリングオフができます。

クーリング・オフを行使すると、消費者が既に商品もしくは権利を受け取っている場合でも、販売業者の負担によって、その商品を引き取ってもらうことおよび権利を返還することができます。また、役務が既に提供されている場合でも、その対価を支払う必要はありません。また、消費者は、損害賠償や違約金を支払う必要はなく、既に頭金など対価を支払っている場合もそのお金を返してもらうことができます。

原則的に指定消耗品の使用・消費があった時や適用除外商品であったりするものはクーリングオフの適用がありません。

契約の申込みとその承諾の意思表示の取消し

事業者が、契約の締結について勧誘をする際、以下の行為をしたことにより、消費者がそれぞれ以下の誤認をし、それによって契約の申込みまたはその承諾の意思表示をしたときは、その意思表示を取り消すことができます。

●事実と違うことを告げられた場合に、その告げられた内容が事実であると誤認した場合。
※消費者を誤認させる意思や、それによって消費者に契約の申し込みや承諾の意思表示をさせる意思がなくても取消ができます。
●故意に事実を告げられなかった場合に、その事実が存在しないと誤認した場合。
※この場合は故意による事実の不告知が必要です。

中途解約時の損害賠償額の制限

◆クーリングオフの有効期間が過ぎた後で、契約の解除がなされた時は、事業者側に法外な違約金等を請求をされないように損害賠償の範囲が法律により次のように限定されています。
●エステティックサロン
役務提供開始前→2万円まで
役務提供開始後→2万円または契約残額の10%に相当する額のいずれか低い額+既に提供された役務の対価に相当する額
●語学教育
役務提供開始前→1万5千円まで
役務提供開始後→5万円または契約残額の20%に相当する額のいずれか低い額+既に提供された役務の対価に相当する額
●家庭教師
役務提供開始前→2万円まで
役務提供開始後→5万円または1か月分に相当する額のいずれか低い額+既に提供された役務の対価に相当する額
●学習塾
役務提供開始前→1万1千円まで
役務提供開始後→2万円または1か月分に相当する額のいずれか低い額+既に提供された役務の対価に相当する額
●パソコン教室
役務提供開始前→1万5千円まで
役務提供開始後→5万円または契約残額の20%に相当する額のいずれか低い額+既に提供された役務の対価に相当する額
●結婚相手紹介サービス
役務提供開始前→3万円まで
役務提供開始後→2万円または契約残額の20%に相当する額のいずれか低い額+既に提供された役務の対価に相当する額

行政規制と刑事罰則

行政措置として、事業者の氏名明示義務・書面交付義務・禁止行為規定・指示対象行為に違反に対して、主務大臣(経済産業大臣及びその他の管轄大臣)は事業者に必要な措置を講じるように指示したり、業務停止命令、立入調査ができます。

◆刑事罰則として
①書面交付義務違反→100万円以下の罰金
②禁止行為違反→2年以下の懲役又は300万円以下の罰金、または併科
③指示処分違反→100万円以下の罰金
④業務停止命令違反→2年以下の懲役又は300万円以下の罰金、または併科

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