マルチ商法を規制する連鎖販売取引に関する法律

連鎖販売取引とは

これは、物品の販売または役務の提供等で、事業者側の会員となり入会金や登録料を支払い、または商品などを購入し、新たな購入者を会員にさせたり、商品購入の勧誘をして、その売り上げの何%かを利益として受け取れるとするような取引のことです。

いわゆるマルチ商法といわれるもので、その発端は現在違法となっているネズミ講(無限連鎖講)であり、様々な形態を持っています。

マルチの正式名称はMLM(マルチ・レベル・マーケティング)といったものです。

マルチ自体は違法ではありませんが、それを行っている業者が違法な事をしているのです。

つまり、法律で厳しく規定されているので、違法となる行為を行わなければ、まず会員が集まらないのようになっているのです。

したがって、これに関わると、やがて業者と同じような違法行為に走ってしまうことにもなるので、悲惨な結末が待っていることを覚悟して下さい。

氏名等の明示義務

連鎖販売取引を行うときは、勧誘に先立って、消費者に対して、次の事項を告げなければなりません。

①統括者、勧誘者または一般連鎖販売業者の氏名または名称や勧誘者、一般連鎖販売業者にあっては統括者の氏名または名称

②特定負担を伴う取引についての契約の締結について勧誘をする目的である旨

③その勧誘に係る商品または役務の種類

統括者とは、一連の連鎖販売業を実質的に統括する者(トップ)のことです。
特定負担とは「その商品の購入、もしくはその役務の対価の支払または取引料の提供」と定義されています。

ほとんどの場合、上記の規定を守らず勧誘してくるのが常套手段であると考えておいても間違いないでしょう。

書面交付とその必要記載事項

◆連鎖販売業を行う者は、連鎖販売取引について契約する前に、その概要書面の交付を、契約の締結後にもその契約に関する書面を、それぞれ以下の事項を記載して消費者に渡さなければなりません。

契約前
①統括者の氏名または名称、住所、電話番号、法人にあっては代表者の氏名
②連鎖販売業を行う者が統括者でない場合には、当該連鎖販売業を行う者の氏名および名称、住所、電話番号、法人にあっては代表者の氏名
③商品の種類、性能、品質に関する重要な事項または権利や役務の種類およびこれらの内容に関する重要な事項
④商品名
⑤商品の販売価格、引渡時期および方法その他の販売条件に関する重要な事項または権利の販売条件、役務の提供条件に関する重要な事項
⑥特定利益に関する事項
⑦特定負担の内容
⑧契約の解除の条件その他の契約に関する重要な事項
⑨割賦販売法に基づく抗弁権の接続に関する事項
⑩法第34条に規定する禁止行為に関する事項

契約後

①商品の種類、性能、品質に関する重要な事項または権利、役務の種類およびこれらの内容に関する重要な事項
②商品の再販売、受託販売、販売のあっせん、または同種役務の提供、役務の提供のあっせん)についての条件に関する事項
③特定負担に関する事項
④連鎖販売契約の解除に関する事項
⑤統括者の氏名または名称、住所、電話番号、法人にあっては代表者の氏名
⑥連鎖販売業を行う者が統括者でない場合には、当該連鎖販売業を行う者の氏名、または名称、住所、電話番号、法人にあっては代表者の氏名
⑦契約年月日
⑧商標、商号その他特定の表示に関する事項
⑨特定利益に関する事項
⑩特定負担以外の義務についての定めがあるときは、その内容
⑪割賦販売法に基づく抗弁権の接続に関する事項
⑫法第34条に規定する禁止行為に関する事項

禁止行為

◆統括者または勧誘者、一般連鎖販売業者などが連鎖販売取引での契約の締結において勧誘を行う際、または取引の相手方に契約を解除させないようにするため、次のような不当な行為をすることを禁止しています。

①勧誘に際し、または契約の解除を妨げるために、商品の品質・性能等、特定利益、特定負担、契約解除の条件、その他の重要事項について事実を告げず、あるいは事実と違うことを告げること。

②勧誘に際し、または契約の解除を妨げるために、相手方を威迫して困惑させること。

③勧誘目的を告げない誘引方法(いわゆるキャッチセールスやアポイントメントセールスと同様の方法)により誘引した消費者に対して、公衆の出入りする場所以外の場所で、特定負担を伴う取引についての契約の締結について勧誘を行うこと。

行為規制

◆マルチ商法が違法性の高くなる理由は、法律がその商法形態を厳しく規制し、その規制から逃れることがほぼ不可能に近い状態下においているからです。

次の事項に少しでも抵触すれば即違法行為となってしまいます。

①氏名や勧誘目的等の明示
②統括者または勧誘者については不実告知と事実の不告知
「厚生労働省の認可を受けている」などと説明すること。
③一般連鎖販売業者は不実告知
④不実告知と事実不告知の教唆
事実と違う事を言ってそそのかし勧誘すること。
⑤威迫や困惑
⑥威迫や困惑の教唆
⑦勧誘目的を隠匿して公衆の出入りしない場所に誘引しての勧誘
「貴方にとってとても良い話がある」などと言って業者や勧誘者の事務所に連れて行き勧誘すること。
⑧書面不交付
⑨書面不交付の教唆
⑩勧誘目的隠匿
「とてもおいしい話がある」などと最初にマルチの説明をしないこと。
⑪広告の表示義務違反
⑫誇大広告
「このビジネスをはじめるには最初に1万円を払うだけでよく、他には一切かかりません」などと広告表示すること。
⑬電子メール広告の提供を受けることを希望しない旨の意思表示を行ったものへの再送信の禁止
⑭債務の履行遅滞など
⑮断定的判断の提供
「うまくいけば簡単に月50万円は稼げる。」といったような裏づけのない情報を提供すること。
⑯迷惑勧誘や解除妨害
断ってしつこく勧誘してきたり、「途中での解約はできない」などと言うこと。
⑰判断力不足の便乗
未成年者や痴呆症などで判断力が不足している者を勧誘すること。
⑱適合性原則
消費者側の知識や経験、財産から判断し不適当な勧誘を行うこと。
⑲契約書虚偽記載教唆
未成年者に歳を偽って契約書などに記載させること等。

クーリングオフ

◆連鎖販売取引におけるクーリングオフの有効期間は、法定書面を受領した日を起算日として20日間です。また商品の再販売型(直属の上の者から買い受けて販売する方式)である時に限って、書面を受け取った日より商品を受け取った日が遅い場合は、商品の引渡し日から数えて20日間以内であればクーリングオフをすることができます。商品の引渡しが数回ある場合はその最初の引渡し日を起算日とします。

◆クーリング・オフを行使すると、消費者が既に商品もしくは権利を受け取っている場合でも、統括業者側の負担によって、その商品を引き取ってもらうことや権利を返還することができます。

中途解約

◆クーリング・オフ期間の経過後でも以下の条件をすべて満たせば、商品販売契約を解除することができます。

①契約を締結した日から1年を経過していないこと
②引渡しを受けてから90日を経過してない商品であること
③商品を再販売していないこと
④商品を使用または消費していないこと(商品の販売を行ったものがその商品を使用または消費させた場合を除く。)商品が複数個の場合、使用・消耗していない物は解除できます。
⑤自らの責任で商品を滅失または毀損していないこと

損害賠償額の制限

◆中途解約をする場合に連鎖販売業者が損害賠償額の予定や違約金の定めをしていても、その賠償額は次のような規定の範囲内でしか認められません。
連鎖販売契約の中途解約
●商品の引渡し後
契約の締結及び履行のために通常要する費用の額と引渡しがされた商品の販売価格に相当する額、および提供された特定利益その他の金品に相当する額の合計額。
●役務の提供開始後
契約の締結及び履行のために通常要する費用の額と提供された当該役務の対価に相当する額の合計額。
商品販売契約の中途解約
●商品が返還されたり、商品販売契約の中途解約が商品の引渡し前であれば商品の販売価格の1/10に相当する額。
●商品が返還されない場合は商品の販売価格に相当する額。
中途解約に関する規定に反する特約で、連鎖販売加入者に不利なものは全て無効となります。

罰則

◆連鎖販売取引の罰則は広範囲に渡っています。
●広告規制違反
100万円以下の罰金
●不当勧誘
2年以下の懲役または300万円以下の罰金、またはその両方
●書面不交付
6ヶ月以下の懲役または100万円以下の罰金
●指示違反
100万円以下の罰金
●停止命令違反
2年以下の懲役または300万円以下の罰金、またはその両方


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