業務提供誘引販売取引の形態を解説

業務提供誘引販売取引とは

業者から購入した商品を使うことによって、仕事を紹介しそこから利益が得られると勧誘した上で金銭を消費者に負担させる取引販売のことです。

法的には「業務提供利益」を受け取ることで消費者を誘い、「特定負担」という商品など購入させて同じ商品の販売やあっせん、又は役務提供やあっせんにかかわる取引をさすものです。

例えば、パソコンを購入させ、データ入力などの業務を与えたりするという内職商法や、布団・着物・浄水器などの商品を購入させ、モニターになって、そのアンケートの提出などによってモニター料を支払うとするようなモニーター商法などがあります。

法定広告表示

業務提供誘引販売業者はその取引において広告をする場合には、必ず次の事項について表示しなければならないことになっています。

①商品または役務の種類
②取引に伴う特定負担に関する事項
③業務の提供条件
④業務提供誘引販売業を行う者の氏名または名称、住所、電話番号
⑤業務提供誘引販売業を行う者が法人であって、電子情報処理組織を使用する方法により広告をする場合には、当該業務提供誘引販売業を行う者の代表者または業務提供誘引販売業に関する業務の責任者の氏名
⑥商品名
⑦電子メールによる商業広告を送る場合には、業務提供誘引販売業を行う者の電子メールアドレス
⑧相手方の承諾等なく電子メールによる商業広告を送る場合には、そのメールの件名欄の冒頭に「未承諾広告」

誇大広告等の禁止

業務提供誘引販売業が広告を行うときはがその取引において、特定負担業務提供利益に係る著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものより著しく優良であり、または有利であると誤認させるような表示をしてはならないと定めています。

特定負担とは、商品の購入費や、その業務における事業者側が示す「取引料」「登録料」「加盟料」「保証金」などあらゆる金銭の負担をさします。

業務提供利益とは購入した商品や提供される役務や権利によって得られる利益のことです。

特定商取引法の特定継続的役務提供に適用されない場合

次のような場合には特定商取引法は適用されません。

①事業者間による取引
②国外にいる者に対する契約
③国や地方公共団体が行う販売または役務の提供
④労働組合等の団体がその組合員に対して行う販売や役務の提供
⑤事業者がその従業員に対して行った販売または役務の提供

◆ご自分で判断の付かない場合は、迷わずご相談ください。

書面交付とその必要記載事項

業務提供誘引販売取引を行う者は、業務提供誘引販売取引について契約する前に、その概要書面の交付を、契約の締結後にもその契約に関する書面を、それぞれ以下の事項を記載して消費者に渡さなければなりません。

契約前

①業務提供誘引販売業を行う者の氏名または名称、住所、電話番号、法人にあっては代表者の氏名
②商品の種類、性能、品質に関する重要な事項や権利、役務の種類およびこれらの内容に関する重要な事項
③商品名
④商品もしくは提供される役務を利用する業務の提供またはあっせんについての条件に関する重要な事項
⑤特定負担の内容
⑥契約の解除の条件その他の契約に関する重要な事項
⑦割賦販売法に基づく抗弁権の接続に関する事項事業者の氏名または名称、住所、電話番号、法人にあっては代表者の氏名

契約後

①業務提供誘引販売業を行う者の氏名または名称、住所、電話番号、法人にあっては代表者の氏名
②商品の種類、性能、品質に関する重要な事項または権利、役務の種類およびこれらの内容に関する重要な事項
③商品または提供される役務を利用する業務の提供やあっせんについての条件に関する重要な事項
④特定負担に関する事項
⑤業務提供誘引販売契約の解除に関する事項
⑥契約の締結を担当した者の氏名
⑦契約年月日
⑧商品名、商品の商標または製造者名
⑨特定負担以外の義務についての定めがあるときは、その内容
⑩割賦販売法に基づく抗弁権の接続に関する事項

クーリングオフ

業務提供誘引販売取引におけるクーリングオフ有効期間は法定書面を受領した日を起算日として20日間です。しかし、上記のような禁止行為等を行いクーリングオフ妨害行為があった時は、再度、法定書面を受領した日から20日間はクーリングオフができます。

クーリング・オフを行うと、消費者が既に商品もしくは権利を受け取っている場合でも、販売業者の負担によって、その商品を引き取ってもらうことや、権利を返還することができます。

また、役務が既に提供されている場合でも、その対価を支払う必要はありません。さらに、消費者は、損害賠償や違約金を支払う必要はなく、既に頭金などを支払っている場合も、そのお金を返してもらうことができるのです。

原則的に指定消耗品の使用・消費があった時や適用除外商品であったりするものはクーリングオフの適用がありません。

禁止行為

特定継続的役務提供においては、以下のような行為が禁止されています。

●売買契約等の締結について勧誘を行う際、または申込みの撤回や契約の解除を妨げるために、次の事項につき事実と違うことを告げること 。

①役務やその権利の種類や役務の内容や効果、その他省令で定める事項
②特定負担に関する事項
③契約の解除に関する事項
④業務提供利益に関する事項
⑤消費者の判断に影響を及ぼす重要なもの

●契約の締結について勧誘を行う際、または申込みの撤回や契約の解除を妨げるために、威迫して困惑させること。

●勧誘目的を告げない誘引方法により誘引した消費者に対して、公衆の出入りする場所以外の場所で、売買契約等の締結について勧誘を行うこと。

契約の申込みとその承諾の意思表示の取消し

事業者が、契約の締結について勧誘をする際、以下の行為をしたことにより、消費者が次のような誤認(勘違い)をし、それによって契約の申込みまたはその承諾の意思表示をしたときは、その意思表示を取り消すことができるというものです。

●事実と違うことを告げられた場合に、その告げられた内容が事実であると誤認した場合。
※消費者を誤認させる意思や、それによって消費者に契約の申し込みや承諾の意思表示をさせる意思がなくても取消ができます。

●故意に事実を告げられなかった場合に、その事実が存在しないと誤認した場合。
※この場合は故意による事実の不告知が必要です。

損害賠償額の制限

クーリングオフの有効期間が過ぎた後で、契約の解除がなされた時は、事業者側に法外な違約金等を請求をされないように、損害賠償の範囲が法律によって、次のように決められています。

●商品の引渡しや権利、役務の提供開始前の場合は、契約締結や履行に通常要する費用の額
●役務の提供開始後の場合は、提供された役務の対価に相当する額
●商品が返還された場合は、通常の使用料の額、または販売価格から転売可能価格を引いた額が、通常の使用料の額を超えているときはその額
●商品が返還されない場合は、販売価格に相当する額

行政規制と刑事罰則

◆行政措置として、事業者の氏名明示義務・書面交付義務・禁止行為規定・指示対象行為に違反に対して、主務大臣(経済産業大臣及びその他の管轄大臣)は事業者に必要な措置を講じるように指示したり、業務停止命令、立入調査ができます。

◆刑事罰則には次のようになっています。

①書面交付義務違反→100万円以下の罰金
②禁止行為違反→2年以下の懲役又は300万円以下の罰金、または併科
③指示処分違反→100万円以下の罰金
④業務停止命令違反→2年以下の懲役又は300万円以下の罰金、または併科


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